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野鳥撮影での EOS-1D 変遷


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このカテゴリでは、キヤノンのフラッグシップモデル EOS-1D の歴史をたどることで野鳥撮影の観点から機材購入の参考になればと思います。

 

 

EOS-1D はフィルムカメラの EOS-1 シリーズのデジタル版として2001年12月に初めて発売されました。45点エリアAFや防塵防滴仕様、視野率約100%ファインダーなど過酷なプロユースに応える信頼性と、その時代の最高技術を集めて作り上げるというコンセプトはすべてのモデルに継承されています。

 

 

初代モデルから高速連写機の『 D 』シリーズと高画素の『 Ds 』シリーズに分割して展開をしていましたが、現在はEOS-1DXとして新たなカテゴリを創出しています。EOSデジタルのフラッグシップは全てこの EOS-1D を出発点としてスタートしています。

 

 

 

< EOS-1D >
撮像素子 : 415万画素CCDセンサー(x1.3倍画角)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.72
フォーカス : 45点エリアAF
高速撮影 : 約8コマ/秒(バッファ:RAW 約16コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 12万画素、2.0型
バッテリ : ニッケル水素
発売時期 : 2001年12月

 

 

フィルムカメラで絶大の支持を得ていた『 EOS-1 』をデジタルで・・・。ついにそれが現実となったセンセーショナルなモデルとして『 EOS-1D 』は発売されました。400万画素のデジタルデータを秒間8コマで処理するという、当時としては厳しいハードルを乗り越えようやく製品化されたモデルです。

 

現在では珍しいCCDセンサーを採用していますが、この時代はフルサイズセンサーは極めて生産のハードルが高くx1.3倍のCCDセンサーが採用されました。このことが、後々の EOS-1D シリーズがx1.3倍センサーにこだわり続けるという大きな影響を与える事になります。45点エリアAFや防塵防滴使用、視野率約100%ファインダーなどは歴代 EOS-1 シリーズから継承され続けています。

 

 

 

 

< EOS-1D MarkU >
撮像素子 : 820万画素COMSセンサー(x1.3倍画角)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.72
フォーカス : 45点エリアAF
高速撮影 : 約8.5コマ/秒(バッファ:RAW 約20コマ)
記録媒体 :  CF+SD デュアルスロット(順次・振分記録不可、SDXCは使用不可)
液晶画面 : 23万画素、2.0型
バッテリ : ニッケル水素
発売時期 : 2004年4月

 

 

センセーショナルであった EOS-1D の発売から約2年後に発売された、待望の後継モデルです。画素数が一気に2倍の820万画素となり、ノイズも初代1Dより大幅に減少と画質面が大幅に進化しました。

 

また、当時は45点エリアAFの面で野鳥を捉えるフォーカス機能+高速連写を備えているカメラはこのモデルしか無かったため、多くの野鳥カメラマンが飛びついて購入しました。この EOS-1DMarkU の発売を機に野鳥撮影を始めた方も多く、最初の野鳥撮影ブームを引き起こした伝説的なカメラといえるかもしれません。また、後継の EOS-1DMarkUN までは電源にニッケル水素電池を使っていました。これは使い切ってから出ないと充電が出来ない(継ぎ足し充電をすると著しく性能を損なう)ため、非常に使い勝手が悪かったのですが当時の技術では連写時の電圧関係でリチウムイオンタイプが EOS-1D系では採用できなかったと、当時の開発メンバーが語っています。

 

 

 

 

< EOS-1D MarkUN >
撮像素子 : 820万画素COMSセンサー(x1.3倍画角)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.72
フォーカス : 45点エリアAF
高速撮影 : 約8.5コマ/秒(バッファ:RAW 約22コマ)
記録媒体 : CF+SD デュアルスロット(SDXCは使用不可)
液晶画面 : 23万画素、2.5型
バッテリ : ニッケル水素
発売時期 : 2005年9月

 

 

EOS-1DMarkU の発売から1年半後に発売となった、マイナーチェンジモデルです。今では考えられないくらいの小規模変更であるにも関わらず、新モデルとして発売になった珍しい経歴のカメラです。『 N 』モデルの発売は EOS-1D シリーズではこれが最初でその後発売されていません。

 

EOS-1DMarkU との主な変更点は液晶の大型化(画素数23万ドットは変更無し)と僅かなバッファ増(RAW20→22コマ)、そして記録メディアの順次・同時・振分機能が付いた程度です。今では考えられませんが、 EOS-1DMarkUでは連写中でも片方のメディアがいっぱいになるとそこで撮影が止まってしまい、手動で記録先を変更しなければならないという極めて不親切なデュアルスロットでした。余りにも不評であったためこの『 N 』モデルを追加発売する必要があったのかもしれません。カタログスペックでは EOS-1DMarkU と同じセンサーを採用していますが、画質は僅かながらに改良されていました。

 

 

 

 

< EOS-1D MarkV >
撮像素子 : 1010万画素COMSセンサー(x1.3倍画角、クリーニング機能あり)
ISO感度 : 常用100〜3200(6400まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.76
フォーカス : 45点エリアAF(F2.8対応19点クロス + 選択不可のアシスト26点)、微調整機能あり
高速撮影 : 約10コマ/秒(バッファ:RAW 約30コマ)
記録媒体 :  CF+SD デュアルスロット(SDXCは使用不可)
液晶画面 : 23万画素、3.0型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(AF不可)
発売時期 : 2007年5月

 

 

EOS-1DMarkUN が小規模変更であったために買い替えた人は少なく、 EOS-1DMarkUから4年が経過してようやく発売と野鳥カメラマンには大変な期待を持って発売されたモデルです。高感度の画質上昇、ライブビュー&クリーニング機能搭載、AF微調整機能、リチウムイオン電池採用と当時としては最新の技術をふんだんに盛り込んだプロ用カメラとして発売されています。

 

ただ、このモデルは EOS-1D シリーズの中でも一番不遇なモデルでした。AFのピントが合わないと苦情が殺到しリコールが発生、また発売後すぐにCFのUDMAによる高速化と92万画素液晶が市場に出回りそれらの技術が採用されなかったこと、そして半年もしないうちにニコンがセンセーショナルなライバルモデル『 D3 』を発表しました。ニコン『 D3 』は野鳥カメラマンにとってさまざまな面で 『 EOS-1DMarkV 』より優れているモデルとして話題になり、レンズのVR400mm〜600mmも同時発売になったためニコンに乗り換えるユーザーも多くいました。フォーカスで45点が選べず19点選択+26点アシストに変更になったのも改悪だと、かなりの不評を呼びました。ただ、 EOS-1DMarkU からは大幅な進化を遂げており、内容もEOS-1Dのコンセプトを継承している正常進化と言えるものです。キヤノンにしてみれば発売のタイミングが悪かったというモデルだったのかもしれません。

 

 

 

 

< EOS-1D MarkW >
撮像素子 : 1610万画素COMSセンサー(x1.3倍画角、クリーニング機能あり)
ISO感度 : 常用100〜12800(102400まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.76
フォーカス : 45点エリアAF(F2.8〜一部のみF4対応39点クロス + 6点)、微調整機能あり
高速撮影 : 約10コマ/秒(バッファ:RAW 約26コマ)
記録媒体 : CF+SD デュアルスロット(CFはUDMA対応、SDXCは使用不可)
液晶画面 : 92万画素、3.0型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、1280×720で60p)
発売時期 : 2009年12月

 

 

 

不評であった EOS-1DMarkV の発売から2年半後に登場したモデルです。Nikon D3 登場以降は高速連写機の市場は完全にお株を奪われる状況が続いており、キヤノンとしても復権を目指してさまざまな要素を盛り込んで開発されたのがこの EOS-1DMarkW です。さまざまな意見がありますが、 EOS-1Ds シリーズにはMarkWが発売されなかったことからしても、この高速連写機の市場は相当ニコンに流れてしまっていて、キヤノンの内部でも相当の危機感があったものだと推測されます。

 

常用ISO12800まで対応の高感度画質、39点クロス+6点エリアフォーカス、UDMA対応、92万画素液晶、動画対応など、 積み込める技術はほぼ盛り込み圧倒的に差をつけられていた高感度の画質もかなり改善しました。現在は次世代の EOS-1DX にバトンタッチしていますが、x1.3画角としては最終モデルであることと、中央1点のみながらF8でもオートフォーカスが使えるなど野鳥撮影ではメリットとなる部分がありまだまだ現役モデルです。中古でも低価格で程度の良い品が出やすいので、EOS-1DXよりコチラを選ぶという方も多いようです。

 

 

 

 

< EOS-1DX >
撮像素子 : 1810万画素COMSセンサー(x1.0倍画角、クリーニング機能あり)
ISO感度 : 常用100〜51200(204800まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.76
フォーカス : シーン認識 + 61点AF(F2.8〜F5.6対応41点クロス + 20点)、微調整機能あり
高速撮影 : 約12コマ/秒(バッファ:RAW 約35コマ)
記録媒体 : CF x2 デュアルスロット( UDMA7対応 )
液晶画面 : 104万画素、ワイド3.2型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、1280×720で60p)
発売時期 : 2012年6月

 

 

 

EOS-1DMarkWの発売後も高感度の画質に関してはニコンのD3sに遅れをとっているというのが大方の見解でした。高速連写機に必要とされる高感度の画質向上とオートフォーカス性能に大幅な見直しを行い発売されたのが EOS-1DX です。高感度の画質を追求すべくキヤノンがとった手段はニコンと同じフルサイズセンサーの採用でした。高速連写機ではx1.3倍画角のほうが使い勝手が良いという声も大きかったのですが、EOS-1DMarkWまで続いていたセンサーサイズを遂に変更するという決断に至りました。

 

オートフォーカスも歴代の45点AFから刷新し、F4〜F5.6でもクロス測距が可能な61点レティクルAFを採用しシーン認識機能も搭載と大幅に進化。連写性能は12コマ/秒にアップ、UDMA7対応のCFデュアルスロット、電子先幕シャッターと現時点では欠点が見当たらないほど完成度の高いモデルとして登場しました。センサーサイズについては野鳥撮影でもx1.3倍画角のほうが有利だという声も多く、EOS-1DMarkWから乗り換えるべきかどうか迷っている方も多いと思います。このサイトでもできるだけ客観的な見解で多くの実証データを元に参考になる考察を提唱できればと考えています。

 

 

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